ひとめぼれ 前田麻美さんの染付

「なんでもないごはんがおいしく見えるうつわ」が好きな私。彩りに凝ったり、繊細なごはんは作れないけれど、うつわがアクセントになってくれておいしそうに見える。彩りを足してくれる。引き立ててくれる。和の料理だから茶色い渋いものも多い、だからこそ少し形が個性的だったり、ちょっと派手では?と思うくらいの色が、実はちょうどよかったりする。

使うまでは、半信半疑。けれどいざ使うと、シンプル真っ白プレートよりよほど使い勝手がいいことを実感してもらえると思う。

そういう視点で選びつつも、例外もある。それはひとめぼれしたとき。第一印象で、あっいいな!と思う時。このうつわがまさにそうだった。

径15.5㎝ 高さ3㎝

 前田麻美さんは京都で活躍されている作家さんで、いっちんと言う技法や打ち込み成形という技法が特徴。いっちんとは、ケーキを作るときの生クリームのデコレーションをイメージしてほしい。道具の先から細く、釉薬や化粧土を絞り出し、生地に装飾を施していく。

繊細な模様やダリアの形が、自分にはフェミニンかなと思っていて、また実際に拝見する機会もなくこれまできた。

二子玉川蔦屋の陶器市

そんなとき、二子玉川蔦屋で開催されていた陶器市に出されると聞き、早速行ってきた。ブロンズや白磁のうつわの中で、染付が一種類だけだったからか、まずパッと目に付いた。ほかの作家さん作品もたくさんあって逡巡しながらも、結局のところ、ひとめぼれを大切にする私。

さて。

この形は、何型と形容したらよいの‥!稜花(りょうか)という形で、花びらの先をとがらせているようではあるけれど、尖り具合もわずか。幅広くとられた花びらのおかげで、盛りやすそうでふところ深い形になっている。見込み(底)は八角で、なだらかなカーブで幅広の花びらが立ち上がり、その真ん中にも切り込みが入り…とワクワクするほど形容したいことが盛りだくさん。

その語りつくせないほどの魅力で、なによりこのうつわは「前田麻美さんの染付」と差別化できるのではないかと思う。

すだちと醤油とお出汁で

何を盛ろうか考えていたところに、お友達から新潟の食用菊をいただいた。両手にこぼれんばかりの菊花をさっとゆがいて、ほうれん草とおひたしに。ぽったりとした陶器の白色の上だからか、みずみずしい紫と緑が、よりあざやかに映る。見込みの角を見せるようにキュッと盛ると、直線とふんわりとしたカーブが美しく際立つ。やわらかい染めの青色の分量も、このくらい少なくて正解だなと盛ってみて思う。

ちなみに、こんな感じでゆがく。うっかり花の写真を撮り損ねてしまった。花冠から花びらをほどき、たっぷりのお湯でさっと30秒。ゆですぎると茶色くなってしまうのだそう。

盛り付けついでに、ガラスにも盛り替え。渡邊徳明さんの片口。これはこれでまたよいのだから、この日の食卓には二つおひたしが並んだとさ。

秋冬のガラスもうっとりする
メインは秋鮭フライで
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


コメントに日本語が含まれない場合は表示できません。(スパム対策)

目次