集めているアイテム、どこか惹かれるアイテムってないだろうか?私にとってそれは片口。片口とは、うつわのフチに注ぎ口がついているうつわで、その機能の通り注ぐ目的で作られたもの。日本酒をいただく時などはそう使うが、鉢くらいの大きさのものについている場合、ほとんどが飾りではないかと。
ずいぶん前から、なんとなく片口が好きであった。ちょっと変わったうつわがいいとかアクセントがほしいとか、そういうたわいもない気持ちから。なのに、色や素材も様々に、こんなに集まってしまった片口たち。
一番無骨なこちらは、工藤和彦さんのもの。工藤さんは北海道で作陶されている作家さん。
この口元のぐわんとした姿と釉薬の溜まり具合、粗さと黄色のやわらかな色合いの対比が好き。目でも楽しめ、手でもその自然を存分に味わうことができる。
こちらは島根県の白磁工房のもの。内円はラウンドなのに外側は、面取りで凝ったつくり。この角のシャープさが白磁の真骨頂ではないかな。
かわってどうだろう、つるんとした表情の口の薄さと丸み。思わずさわってしまいたくなる。
同じ作家さんで違う雰囲気のものを2つ買っちゃうことだってある。こちらは好きすぎてまだブログできちんと紹介できていない間に、片口紹介が先にきてしまった。京都、鈴木智尋さんのもの。
彩りは良くないのですがしみじみする副菜が合うのだ。これまで紹介した3つの片口は副菜サイズ。漬物、和え物などの飾り気ない惣菜に使うことが多いので、少しでもおいしそうに見えて、箸をつけたくなるうつわで出したいのかもしれないなあ。
メインになる大鉢は、土ものでも軽やかでサラダなどにも合うナチュラルな雰囲気。
口はさりげないので、ほぼ煮物鉢の様相なのですが、あるとないのとでは印象が違う。丸でもなく楕円でもなく、上からも横からも、そのほんの少しの広がりがテーブルでバランスをとってくれる。何より、使うだけでちょっとうつわ使いがうまくなった気になる。そんなところも、片口の魅力。
こちらも和食によく合う。
最後に、飾りにもなり実際に注ぐのにも使っているガラスの片口をご紹介。
東京で、耐熱ガラスのうつわをつくる、渡邊徳明さんの片口。抹茶を点て氷を入れて冷たくして、薄手のお茶碗に注いでいただこうか。耐熱なので熱いものも大丈夫。ブログだと伝えきれないのが残念だけれど、氷がガラスとあたってカランカランといい音をたてるのだ。その音だけでも、涼しさが増す。
片口の魅力は、テーブルの上でアクセントになることはもちろんなのだけれど、その姿をまじまじと愛でたくなること。私は数を集めたいコレクターではなく、あくまでも愛でたい、偏愛。
新たな窯元や作家との出会いがあるたびに、片口を探す楽しみも控えている。そう思うだけでわくわくする今日この頃である。
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