これは本物の(おそらく桃山時代)鎧の一部です。鎧は主に鉄で出来ていますが、その表面には漆が塗られていることを甲冑の勉強をしている方から教えていただきました。
鎧はそもそも、小札(こざね)という鉄の薄い板を組み合わせて作られます。小札には穴が開いていて、そこに紐を通して連結していくのだそうです。小札の一部を重ねてつないでいくので立体感があり、極端な言い方をすれば、倒れたドミノのようです。それがつながっているのでしなりがよく、身体にフィットするというわけです。一つ一つ作るのにとても手間とお金がかかるため、位が高い武将しか着られなかったそうです。
そして、なぜ漆を塗るのか?
それは素材に鉄を用いているので、湿気を防ぐことと補強という合理的な理由から。しかしながら漆の黒々としたつやのある表情は、見た目にもとても美しかったのではと想像します。
全体的にはボロボロですが、私はむしろここまで残っていることにとても驚きました。世の中にたくさんの歴史の遺物が残っているので頭では分かっていたのですが、改めて体感した瞬間と言うほうがふさわしいかもしれません。
博物館などで鎧を見る機会がありましたら、漆の美しさにもどうぞ目を光らせてみてくださいね。
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