ガラスの金継ぎ

約2年半の金継ぎの中でガラス作品は1点。そもそもガラスが金継ぎできるかというと…必ずできるとも全くできないとも言えないもののようです。もともとガラスとの相性はいいとは言えません。陶磁器の断面に漆がしみこんでいき、接着できるわけですが、ガラスにはしみこまないからです。

今回は割れの接着ではなく欠けの補修だったので、大幅に失敗したり不具合が出ることも少ないと思い、トライしてみることにしました。

重さも心地よい切子のロックグラス
ぷくっと口元に金がのりました

ガラスにはガラス用漆を使用しました。

金継ぎ教室ではその日に教わった工程をメモしているのですが、見返してみると、まずはやすりで断面を削り、そこにガラス用漆を塗っています。その後完成までは、漆を塗り、研ぐを繰り返しますが、ガラス用ではないべんがら漆(赤)を塗って研ぐ工程を繰り返しています。ガラスの接着をするならば、使用する漆の色も継ぎ目に見えるので選ぶ必要もあります。私の場合は最終的に金を蒔くので、下にはべんがら漆を塗っていました。

この写真は金を蒔いた後のもの。(蒔く際の画像があればよかったのですが)金粉をのせたら終わりではなく、固め+硬化を3回繰り返します。固めとは、漆に灯油を1対1で混ぜたものを塗ること。これは、金を蒔いた部分を、より強固にするために行います。(灯油は揮発します)

漆を塗ったので黒っぽい

最後に磨き材で磨くと、つやが出て、完成です。

これが求めていた金の色!

他のものと並行して作業し、最終的には1年ちょっとで完成しました。集中すればもっと早くできたと思います。私の教室ではバカラのグラスや、大き目のピッチャーなどを継いでいる方がいました。漆との相性は良くないし、破片をつなぎ合わせるのも大変ですが、美しい仕上がりをみると、継ぎたくなる気持ちが分かります。

ビールをいただきました

金継ぎ教室が終わって持ち帰った日。そのうちに夕方になり、西の青い空に一番星が。なんとなくつけたこの作品の銘は「宵の明星」。ガラスの重みと完成までの長い道のりが合わさり、心地よい晩酌となりました。

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